生活をつづけること

日記置き場

雑記 優しい忘却と架空の国

「もし10日間どこでも行っていいよと言われたらどこに行く?」

少し前にそう尋ねられたことがあった。Zoom飲み会をしている時だった。そのとき私は「イギリス」と即答して、いかにかの国に行きたいかを滔々を述べた。尋ねてきた相手は「タイに行きたい」と言い、昔訪れたその国の良さについて話してくれた。

 

私が行ったことのないイギリスは憧れと幻想に満ちた島国で、彼が行ったことのあるタイは温かな思い出の中の国で。各々がそれぞれの思いを元に、今ここにはないものについて話せたことが私はとても嬉しかった。

 

今ここにないもの。架空の良さは、優しく今を忘却してくれることだと思う。耽溺すると心身の毒になるが、一時的に現実から意識を外し、幻想と憧れと過去に遊ばせてくれる。その後戻ってきたときも、胸の中のほのかな光となって暖かく灯り続ける。冷たく厳しい雨や風に追われた時は、こうした光が助けてくれるように思う。明日をまた生きることが当たり前ではないと思ってから、架空の与えてくれるものを考えている。