生活をつづけること

日記置き場

20220707 鱧カツと冷製トマトソース、結婚記念日

Twitterで書いている日記の続き。

 

4回目の結婚記念日だった。夫が懐石料理のコースを予約してくれていたので、仕事を終えてから店に出かけた。以前ランチに寄って非常に美味しかった店で、今日の食事も期待を大にして出かけたがとても美味しかった。初夏の食材を中心に構成されていて、どれも手が込んで繊細、かつ贅沢な料理たちだった。以下、本日のコース内容を記す。

 

・先付-蛸と季節野菜を炊いたもの。

白酢和えが添えてあり、それを付けて食べさせた。季節野菜は茄子。皮を剥いて一口には少し小さい大きさに切られていた。蛸も同じように小さめに切られており、どちらも柔らかく、良く出汁が染みていて美味しかった。

 

・煮物碗-軍鶏の真薯と夏野菜の炊き合わせ。

黒塗りの碗に澄んだ鰹出汁を張り、その中に真薯と一筋のいんげんが浮かべてあるもの。出汁の塩加減は控えめで、鰹節の香りが高かった。真薯は滑らかできめ細かい舌触りで、刻んだ軍鶏肉も中に入っている。噛めば噛むほど肉の旨味が増して美味しかった。

 

・造り-鰹と皮を炙ったあいなめ。桜大根のツマを添えたもの。

これが白眉だった。刺身とはこんな清潔な食べ物だったかと思わされた。炙った皮の香ばしさ、身の歯触り、味の濃さ。運ばれて来た時はやや厚切りすぎるかと思ったが、これは口中で頬張った方がいい、それほど美味しい刺身だった。

 

・焼き物-鱸のライム焼き。毛馬胡瓜の漬物を添えたもの。

鱸の塩焼きにライムの薄切りと皮、もみじおろしを添えて食べさせるもの。ライムの果肉と魚の身がよく合っていた。厚めの切り身に柑橘類を合わせるのはとても美味しい。

毛馬胡瓜は「けまきゅうり」と読む。江戸時代に大阪の毛馬というところで栽培され始めた品種らしい。水分は控えめでやや苦味があり、パリッとした食感が漬物に向いていて美味しかった。

 

・(恐らく)八寸-鱧カツ。

鱧に細かいパン粉をまぶして揚げたもの。フルーツトマトのような、甘味の強いトマトを使った冷たいソースを付けて食べさせた。ソースには、細切れにしたトマトの果肉、玉ねぎが見受けられた。サルサのような香辛料が遠くに香るソースで、これだけでも相当に美味しかったのだが、鱧に乗せて食べるともう絶品だった。今回のコースで私が一番好きなものはこれだった。

 

・ご飯(香の物は省略)-とうもろこしとときしらずの炊き込みご飯。

小ぶりの土鍋で、タイミングよく炊き上げて提供してくれた。ときしらずは「春から初夏にかけて戻ってきた」若鮭のこと。脂が乗って美味なことで有名な高級魚だ。これを白米ととうもろこしと一緒に、出汁で炊き込んだものを食べた。甘いとうもろこしと塩気のある鮭の相性が素晴らしく、土鍋で炊かれた香ばしい米は芯のある美味しさで、締めとして最高のご飯だった。しめじと絹さやの味噌汁と一緒にいただいた。

 

食事をしながら、麦の焼酎を炭酸で割ったしゅわっちという飲みもの、日本酒を頂いた。麦焼酎穀物の旨味があって美味しかったが、米の酒は本当に体に染みる。今回、店員さんにおすすめしてもらった「播州一献」の生酒は、フルーティで甘みが強く、微発泡で口当たりも良いため、ついするすると飲んでしまった。酒にはそれなりに耐性があるが、日本酒だけはすぐに酔いが回ってしまう。

 

最後に、味噌プリンなるデザート、熱い煎茶を飲んで仕舞いにした。最後まで美味しく、記憶に残る食事になった。帰って風呂に浸かりながら、森茉莉の「貧乏サヴァラン」を読んだ。森茉莉はとことん己の舌の欲求を追求していく人だが、今日のような食事を摂れば、その気持ちも共感できるような気がした。ご飯って本当に美味しいものな…。